直観と数式の隔たりみたいなもの

素数判定 を書いたときに思ったことなど。

ああいう内容をきちんと説明するには数式を使って書かなければならない気がするのですが,一方でそうやって説明してしまうとどうもしっくりこないところがあって,結局「こんな計算をします」ということだけ先に書いて,後で少し説明するという形になりました。

その気になれば,もっと数学的にちゃんとした説明を付けることはできたわけですが,ここはこう引き算して,これを素因数分解して,などと説明しようとすると,どうもしっくりこない。実際にやっていることは確かに引き算だったり素因数分解だったりするはずなんだけど,そうやって説明してしまうと,どういうわけか,これは本当に自分の頭の中で起きていることとは違うと感じました。あの記事を書いているときは,きちんとしたやり方を示したかったというよりは,自分の頭の中はこんな感じであるということを書きたかったので,数学的にはだいぶ不完全なようにも思いましたが,最終的にああいう形にしました。

ただ不思議といえば不思議なのは,頭の中で計算しているときにも論理らしきものは働いている気はして,ここはあのパターンを使おう,ということを考えてやっている(少なくともぼくはそう思っている)ということです。「頭の中で行われていることはこういうことだ」と思って書いているのに,書かれたものを見るとすごく違和感があって,とてもそれが自分の頭の中で起きていることとは思えない。

頭の中にあるイメージと厳密に書き下された数式や証明がリンクしないということは,数学をやっていればよくあるようには思いますが。これは何を意味するのでしょうか。

結論は何もないのですが,こういうことを考えていると Mathematics, morally を思い出します。これ,すごく面白い文章だと思います。